9月23日日曜日。3連休の真ん中。

暗澹たる気持ちで軽井沢へ出発しました。
一度は宿をキャンセルして、このまま新幹線で東京に引き返そうと思ったほど。

リゾート地軽井沢で何が待ち構えてんねんと思うかもしれませんが、
全く逆で、何も予定がなかったから。

でもどうにかミレニアル世代的に目標を定め、
降りる頃には3日間軽井沢でなんとか生きてやろうという気持ちになっていました。

こんな気持ちで来られても軽井沢としても困るかもしれないけれど、
他のどの街とも一緒で、軽井沢に向かう人の100%がハッピーとは限らないのです。
 

IMG_4429
もしかしたら軽井沢のほうも相当暗澹たる気持ちだったかもしれないと思える1枚。


さて、軽井沢。

歩道が広くて、歩道と一緒に自転車道があって、
もみの木が生い茂っていて、
木造の小洒落た建物(Fachwerkhaus)が建っているせいもあって、
歩いているとドイツのブレーメンを思い出します。


軽井沢は「見どころ」が広域に散らばっているからか、
レンタサイクル業界がここぞとばかりに進出してきています。

0b6189f7
出典
 

それでもってドイツ人は日常でよく自転車に乗るのです。
環境先進国の名にふさわしく、自転車のためのインフラが整い、
小さい頃からよく教育されているらしい。

と、教えてくれたのは元クラスメイトの
ドイツ人で
ブレーメンの家に泊まりに行ったときは
街歩きならぬ街サイクリングで
あちこちに連れ出してくれました。

ママの自転車に空気を入れて。

彼女は大学のあるイギリスでも、
バスで
20分の道のりを
自転車で
15で通学してきていました。

26

木造の小洒落た建物(Fachwerkhaus)とはこのあみあみをイメージしてください

 

というわけで、軽井沢とブレーメンの違いといえば
中国人観光客が自転車に乗っていることと、
Volkswagenの代わりにスズキが走っていることと、
Sparkasseの代わりに八十二銀行が建っていることくらいです。


そんなことを思いながら国道133号線を歩いていると
向かい側に「腸詰屋」という名前のいかにもジャーマンなソーセージ屋が見え、
【軽井沢=ブレーメン説】がいよいよ育ち始めます。

チェックインして一息ついたら、
もと来た道をまっすぐ引き返して「腸詰屋」へ。
(腸ではなく胃袋を満たすため(そのうち腸にいくとはいえクロノロジカルに)。)

メニューを
20秒眺め、ニュルンベルクソーセージのセットを注文しました。

わたしがドイツで行ったことのあるのは
ブレーメンとニュルンベルクだけなので、
偶然も重なるものです(ちなみにブレーメンソーセージセットは存在しなかった)。

で、外にコスモスが見えたのでなんかいいと思って窓際の席を選んだところ、
レジの店員とちょうど向き合った形に。

ドイツ人のおじさんのように顔のでかい店員(偏見)は、
こんなところでマックブックを広げているのを見て一瞬嫌そうな顔。

軽井沢のソーセージ屋でパソコン···?
彼の不信感はわからなくもない。


腸詰めの食べ物を取り扱うことと顔の面積の因果関係について考えを巡らせていると、
ニュルンベルクソーセージが出てきました。
出てきたというよりも、番号札を呼ばれて自分で取りに行ったのだけど、
とにかくキッチンの奥から出来上がってきました。

(写真はありません。)
 

ハーブ入りのソーセージが5本。
きゅうりとひよこ豆のピクルスと、ザワークラウト(キャベツのマリネ)。
ジャーマンポテトというよりはじゃがバターに近い小ぶりのじゃがいも半分。
丸パンが
2個。

ドイツのソーセージを店で頼むと、ソーセージだけで食べたくても、
ソーセージは常に小型パンに挟まって(しばしば挟まりきれずはみ出て)くるので、
ソーセージとパンは切っても切り離せないのがドイツ流(嘘かも)。

ますます疑似ブレーメン感が高まってきました。



ニュルンベルクといえばまず浮かぶのは、
おそらくかの悪名高き裁判と某日本代表サッカー選手かもしれませんが、
ニュルンベルクソーセージも外してはいけません。

本名「ニュルンベルガー·ローストブラートヴルスト
Nürnberger Rostbratwurst 」は
ソーセージ大国ドイツの中でも
サイズが小さいことが特徴で、
伝統的にはブナ材の火でグリルされる。らしい。

 24
忘れもしない、口ひげが立派すぎて耳にかけているニュルンベルクのソーセージやさん



Wikipediaで調べると(手抜き)、

「フランケン地方最大の都市ニュルンベルクの
小さく細い
ブラートヴルストは、
最古の文献が
1313年である。

長さは79センチメートル、
重さは
2025グラムで驚くほど小さい」。


驚いているのはおそらくドイツ人だけで、
サイズは日本で見るウィンナーソーセージと変わりません。


まあ、これ(下)がデフォルトのブレーメン人からしたら
驚くほど小さいかもしれない。
 
IMG_9785
ブレーメンで買ったソーセージ
 

さて、わざわざコスモスの席を選んだって、
案外食べながら窓の外を見たりはしないものですね。

インスタ用にちょっと顔をそらす女子以外は。

だから自然と、正面に見えるものばかりをじっくり観察することになりました。

顔のでかい店員の横には、案の定というか、恐れ入るべくというか、
ドイツ農産物協会コンテスト受賞」のポスターが額に入って飾られております。

腸詰的食物のコンテストなんて、
本場なら(それこそ腸詰的食物が)腐るほどありそうなものだと思ったけれど、
この「ドイツ農産物協会コンテスト」は、
1887年から続く権威あるヨーロッパ唯一のハム·ソーセージのコンテストだそうです。


IMG_4430


勝手に「腸詰的食物」なんて適当な造語を使っているけれども、
中国語でソーセージはなんというのかちゃんと調べました。
「香腸」。香る腸。シアンチャン。

牛の肉でできていれば牛肉的香肠(牛肉的シアンチャン)、
豚肉でできていれば猪肉的香肠(豚肉的シアンチャン)でも通じる。

魚肉ソーセージは、言うまでもなく魚肉的香肠(魚肉的シアンチャン)です。



さてさてこのしょうもない旅行記1日目もいよいよクライマックスへ。
 

胃に腸詰的食物が詰まったところで
(マトリョーシカを想像したくなる)、
席を立って店内の他の額縁を見にいってみました。

するとなんとなんと、
二人のおじさんの顔が載ったポスターにこんなことが!

「腸詰屋の基本はドイツブレーメンに住む
フライッシュマイスターであるハンス·シュナイダー氏並びに、
フランクフルトに住むライナ·ホイザー両氏の教えを忠実に守り
安全で美味しい本物の味を伝えることです」


ライナ·ホイザー氏がニュルンベルクに住んでいなかったのはちょっと残念だけど、
そこは現実的偶然として起こるにはいささか出来すぎかもしれません。


よって、広い歩道を歩いているときに生まれた
軽井沢=ブレーメン説」は腸詰屋において
80%確立したのです。

そして残りの20%はもちろん、
この街には犬やロバが重なっている銅像がないという事実に尽きます。

 126_1261

がおー