高校生のとき食糧問題に興味を持ち、イギリスに開発学を学びに行きました。 


4年間大学で学び、2017年7月に卒業しました。

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「大学で開発学を学ぶ」とは?

開発学」とは、ざっくりいうと 世界の抱える貧困問題について、環境、人権、紛争、教育、経済などさまざまな領域から、その根深い原因について議論したり、どのようなアプローチで解決されようとしているかについて学ぶ学問です。

わたしは貧困問題と食品廃棄のある世の中のギャップに疑問を感じていたので、開発環境学を専攻しました。


日本では経済学部の一部においていることもあります。

知名度的にポピュラーな学問というわけではありませんが、「社会のために何かしたい」と思いつく学生は多いので、関心のある人は多い印象です。


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バングラにて


さて「学問」とは、過去に先人が数十年かけて帰納法的に構築した理論を数十時間ずつかけてさらっていくもの。

そしてその上に自分の考えなり研究なりをちょこんと載せて大学を卒業します。

体系化(セオリー化)されているものをなぞっていくだけなので、当然ですが開発学では「人の助け方」や「町の貧困の解決方法」を教えてくれるわけではありません


語学で言えば、フランス語学科でフランス語を読んだり話したりするのと、言語学科で「フランス語独特の音の出し方」について喉や脳の構造を学ぶのが違うのと同じです。


国際協力業界にいきたいなら開発学は後回しにするべき

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わたしは、大学で「興味のあること」だけ勉強できるなんてこんなに効率の良いことはないと思っていました。

大学院から開発学を学ぶ人は多いので、「わたしは早くこの学問の存在に気が付けてよかった」と遠回りしなくて済んだことを喜んでいたのです。


例えば大学の経済学部に開発経済学が学べるコースがあったとしても、その学部生活の9割は「貧困問題」とは無縁の学業になると思ったからです。

それは間違ってはいないかもしれませんし、ゼミという制度を知らなかったので間違っているかもしれません。

しかし、もし本当に直接的に途上国で力になりたいと高校生のときに考えついたとしたら、その人はきっと開発学はとらない。

「どうやって」自分が役に立つべきかまで考えるからです。


農学を専攻するかもしれません。

医者を目指すかもしれません。

英語の教え方を学ぶかもしれません。




イタリア人コースメイトが、卒業後の進路として母国に帰り、中学だか高校の先生になると言っていました。

それを聞いた別のコースメイトが、「もし生徒が開発学に興味を持ったら勧めるか?」と聞きました。


彼は、「いや、勧めない」とはっきり言いました。


本当にその道に行きたければ、大学ではまず教師や経済学の専門知識をつけ、

それから、開発学の理論やスキルの応用方法を院で1,2年学べばいい、と。


わたしは、卒業を控え学部生活を振り返っていたところだったので、考えていたことを口にしてくれた!と共感しました。

(学部で「専門性」がつくかという議論はおいておいて。)


それでも開発学は興味深い


開発学は意味がない、と言いたいわけではありません。

自分の4年間ですから、そんなこと言いたくもないですけれど。

大学の学問であるということはそういうことなんだ
」と実感しているという次第です。

やはり、大学院で開発学をやった人に比べ、学部から開発学をやっている人でそのまま直接的な国際協力の道に進む人は少ないように見えます。


でも、文学部に行った人が小説を書いているわけでもないし、商学をやった人がみんな社長になるわけでも、理工学部に行った人がみんな機械を作っているわけでもありません。

興味はあるけれどまだ「何をしたらいいかわからない」という人は、開発学をやるのはおすすめできます。


自分が「一直線に進んでいる」と信じていた高校生の時には受け容れられなかったことではありますが、「人の考えは変わる」ということは、頭のすみにでも置いておくと少し楽かもしれません。


1)起こっている問題を広い目線でみることができる
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国際協力という分野にもともと興味があっても、環境学ではなく開発学を専攻しなければ分からなかったことはたくさんあります。

国連のここがうまくいかないんだ、とか、民族レベルではこのような反発があるのだ、と少しスケールアップして俯瞰的な目線で世界を見ることができるからです。


1年生のいちばんはじめの学期では、それぞれの分野の基礎を必須で学びます。

わたしの大学では開発環境学のほかに経済学、人類学、地理学(+下の学年からメディア学)がありました。

まったく興味のなかった人類学や経済学も、そのときから国際開発とは切り離せないアプローチとして考え方にインプットされました。

さらっと例えを出すなら、民族に伝わる慣習による思い込み国際貿易のシステムが発展を阻むことがあるということです。

また、開発教育や紛争の授業もとれるようになり、西洋的リベラル思想での国際協力や開発は本当に人を幸せにするのか?と開発学分野では誰もが考えつくであろう境地に至ります。


2)実践的な授業もある

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大学生活の前半は、机上の空論ならぬ机上の論文に張り付いているわけですが、学科によっては後半になるとフィールドワークやインターンなど実際に学外に出ることになります。

1年生のころからデータの見方や取り方についても並行して勉強しているので、いよいよ実践というわけです。

わたしも、スコットランドで「バイオエネルギーとしての海藻の市場性」について調べたり、東京に戻ってきてフードバンクで2か月インターンをしたりしました。


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ー市場で余った野菜を調理し、ホームレスの方に炊き出し


将来リサーチャーとして開発に関わるとしたら、この点いちばん実践的と言えます。



とはいえ、途上国でのプロジェクト経験なしに国連や大学に勤めている人はいないと思いますが。

>> 開発学ガイド:貧困・格差・国際協力を大学で学ぶ(外部Co-media記事)

>> 余っている食品を、必要な人へ。日本の話です。(外部Co-media記事)

おわりに

いまは、国連や地域のNGOなどで働くことは考えていません。

もしかしたら最初から、「夢が大きいほうがかっこいいから」言っていただけかもしれません。


社会問題に関心はあるけれど、草の根プレイヤーにはなりきれないというのが正直なところです。


現在そういった社会的なことには、バングラデシュにプロジェクトを持つ企業の中のひとりとして、人の作った組織にのっかることで1ミリでも戦力になれたらと思っています。

またプライベートでは、メディアという形で関わっています。

少しでも「今しんどい人」に自己責任論が振りかざされない世の中になったらいいなと。

「消費者」としてできることも小さくないと考えているので、それについてはまたいつか。



こちらも合わせて読んでみてください。

>> 海外大学を出たら海外就職するってみんな思ってるんでしょ?

>> 開発学ガイド:貧困・格差・国際協力を大学で学ぶ(外部Co-media記事)

>> 余っている食品を、必要な人へ。日本の話です。(同)

>> グラミン銀行でのインターン。現地で気づいた途上国バングラデシュでの実態。(同)