夢と希望を持ってイギリスに来たばかりのころ、イギリスで大学を卒業して日本に帰っていく先輩たちを見て、もったいない…と思っていました。

せっかく海外大学に来たのにどうして日本?と。

>> 高校卒業後にイギリスに進学した筆者の10文プロフィール


イギリスに大学院留学をされた方は、日本やイギリス、アフリカなどをベースに様々な進路を取られていますが、学部留学をした後に海外に残る人は多くありません。

そんなわたしもボストンキャリアフォーラムに行き、日本での就職を決めました。

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以前は疑問に思っていたはずの日本就職ですが、わたしはイギリスでの就活もしていないし、外資系企業すら一社も受けていません。

なぜかというと、

① バングラデシュで、自分にとって理想の人生を送れると思えなかった

② やっぱり自分の力を最大限に駆使できるのは日本語環境

③ 日本の問題は日本人じゃないと解決できない

④ ビザがない身で海外就職する現実的メリットがあんまりない

ということが大学入学後~就活の間にわかったからです。

イギリスで2年以上バイトをして考えたことや、3回分の夏をかけてバングラデシュや東京でしてみたインターンの経験、人に伺った話を踏まえて決めました。

というわけで今回は、海外大卒の就職についての現実やこれらの心境の変化を詳しく書いてみます。


① バングラデシュで、自分にとって理想の生活を送れると思えなかった


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国連で働くことに興味があり、国連のサイトの日本人職員の紹介ページを見て「開発学」という言葉を知り、イギリスにやって来ました。

そこで、まずどうして開発学をやったのに「途上国」でもなく日本に就職なのか、という話。

進学先をイギリスの大学の開発学部に決めたものの、知識としては知っていた「途上国」と呼ばれる国には、行ったことがありませんでした。

そこで大学1年生になる前の夏休み(イギリスのアカデミックイヤーは9月から)に、アジア最貧国と言われるバングラデシュに行きました。

そこで見たもの、感じたこと、心身の疲労。

日本人は目立つし、服装すら合わず、ひざ下ですらジロジロ見られたりしていました。

一歩外に出れば物乞いの方に手を差し出されたり、暗いなか犬に付いてこられたり、車に乗っていても窓をコツコツ叩いて物乞いをされたり。

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都合の良くないことから目を背けている気分にもなるのですが、正直なところ、そこで何年も生活したいとは思えませんでした。

途上国で人のためになりたい!などと思いつつ、別の場面で思い描く将来像というのは、日本で結婚し子どもを育てることだったからです。

ただしこう決めつけるには、まだ世界を見きれていないとは思っています。今のところは、という決断です。

② 日本語環境がいちばんポテンシャルを駆使できるよね?

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次に、どうしてイギリスじゃないの?という話。

一時帰国中に飽きるほど聞かれるのが、「やっぱ海外で就職するの?」という言葉。

そうと決めつけて話をしてくる人もいます。

海外大学を卒業したからって日本人じゃなくなるわけじゃありません。

英語ネイティブになるわけじゃありません。

日本語環境より英語環境の方が自分の能力を発揮できるようになるわけではありません。


社会に出たら自分や自分のすることに市場価値を生み出していかなくてはいけません。

大学では、「ネイティブなら早く終わるんだろうな」「同じ1時間の授業でも彼らはもっと理解して吸収しているんだろうな」と思いながらも、好きなだけ課題に時間をかけられたり、理解度の差はあとから補えたり、という環境でいました。

人に聞けば良かったり、苦手なところは人にお願いしたりしていました。 

社会に出てからまでそんな基本的なところで悔しい思いをしていたくありません。

自分のポテンシャルを最大限生かしたいし、自分でなければできない仕事をしたいです。

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大学のカフェで2年間アルバイトをしましたが、わたしはバイトリーダーにすらなれませんでした。

応募はしたのですが、「自信がまだなさそう」と落とされてしまいました。
そして自分より後から入ってきた人がリーダーになっていったのも、今でも悔しいと思っています。

選択肢が広がったことには感謝はしていますが、どこでわたしの価値がいちばん出せるのかを、これからも模索していきます。
 

③日本の問題は日本人じゃなきゃ解決できない

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わたしがイギリスに来た理由は、世界の食糧問題に興味があったからです。

貧困で食べられない人たちが存在するかたわら日本の食糧廃棄量はすさまじく、そのギャップについて学ぶため開発環境学のある大学に進学しました。

しかし「子どもの貧困」がメディアに多く取り上げられるようになり、日本の中でそのギャップがが存在することが浮き彫りになった結果、次第に興味が日本国内の問題に移っていきました。

余談ですが日本の貧困問題について何も知らないという方は、まずこの本を読んでみてください。

難しくないし、「貧困」だけでなく「食べ物のムダ」や「消費社会」「シングルマザー」など日本の根深い問題が見えてきます。




3年生の初めにとったインターンの授業で、アフリカ、アジア、ラテンアメリカとヨーロッパから文字通り世界中に飛び出して行ったコースメイトたちを見ながら、わたしは母国・日本の東京にあるフードバンクで働いていました。

先述の本にも、お世話になったセカンド・ハーベストジャパンの創始者チャールズさんが取り上げられています。この本も、職員の方にいただきました。 

このころ「異国で生活すること」に対するエネルギー切れがあったことも確かです。

でも、世界の他のところで起こっている問題に携わるのは、他にも出来る人がいる。

コースメイトたちのように、世界に出ていくハードルがわたしより低くパッションがある人たちがいる。

だけど日本で起こっている社会問題の解決とか、経済を復活させたい!みたいなことは、日本人じゃなかったら誰がやるんだろう?と思ったのです。

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日本にも社会問題は山積していますが、「先進国」とみなされているので「日本の問題を解決しよう」と海外から来る人はそうそういません(例外は日本初のフードバンクを立ち上げたアメリカ人のチャールズさん)。

例えば、ホームレスが1番たくさんいるシティはフィリピンのマニラで、2番目がニューヨークだそうですが、「世界の貧困問題を解決したい」と言ってニューヨークにいく日本人には出会ったことがありません。

わたしは上記のインターンシップを東京のフードバンクで行い、日本の貧困と向き合ってみて、段々そう感じるようになりました。

わたしはこれを「役割分担」だと思っています。 

この考え方は、バングラデシュでバッグを作りマザー・ハウスという会社をおこした山口絵理子さんという方の著書から拝借しています。

日本の相対的貧困より、世界のどこかの絶対的貧困に興味がある人もいるし、自分の生活にしか興味がない人もたくさんいます。

社会問題へのアプローチのしかたも、政治家や国家公務員という公的セクターからはもちろん、民間企業、研究者、起業、NGOやチャリティ団体、寄付など様々なかたちをとることができます。

山口絵理子さんはわたしと逆で、「役割分担」という言葉がでてきた慶應SFCの面接のときには、ご自身が世界に出ていく側になるとは思っていなかったそうですが、開発学に出会ってからは(出会う前もですが)凄まじい人生を送られています。





④ 就労ビザ取るの難しい問題

現実的な話をします。

卒業したら1年間働く権利が与えられるアメリカと違い、イギリスの場合卒業したら3ヶ月でビザが切れてしまいさようなら。

現地就職をしたい場合は、その3ヶ月でインターンなどをして正規ポストを得る必要があり、つまり「正規ポスト=会社が就労ビザを負担してまで雇いたい人材である」必要があるということです。

ワーキングホリデーにしても年間1000人までという制限があり、抽選です。

配偶者に与えられるビザも所得の下限制限があり、イギリス人と結婚しちゃえ!というわけにもいかなくなっているようです。
 
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ちなみに話題の Brexitでは、これまで制約のなかったEU民にも上記が当てはまることになるので、イギリス就職に関してポジティブな捉え方をすれば、これで日本人もEUビザを持つ人と同じ土俵に立てることになるわけです。

 

しかしたとえば待遇面では、日本企業にイギリスで現地就職するより、日本で就職して海外駐在や出張で出て行くほうが断然良いとのことです。ビザももちろん会社が払ってくれます。

わたしは最終的にこのビザや待遇の話を聞き、ボストンキャリアフォーラムに行き日本就職することを現実的に後押しされました。


こんな人なら海外就職したらいいんだと思う

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母国とは別の国で就職されている方・しようとしている方というのは、とても強いなと単純に思え、わたしはこの3年間ではそこまでたどり着けなかったと感じています。

さらに言えば、大学の3年間で「海外への憧れ」をいい意味で取り除けたのだとも思います。

「英語環境で仕事をしたい」

「日本社会より海外の方が自分に合っている」 

「日本語スピーカーであることがアドバンテージになる仕事をしたい」

「ヨーロッパとアジア(日本)の架け橋になれる仕事がしたい」 

「(将来の夢のために)海外で経験を積みたい」
「日本ではできないことが海外ではできる」
「恋人・配偶者が海外にいる」 

海外にこだわるモチベーションが、これらのように強く長く続くものでなければ、異国で働くのは難しいなと思っています。

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おわりに

まとめると、

① バングラデシュで、自分にとって理想の人生を送れると思えなかった

② やっぱり自分の力を最大限に駆使できるのは日本語環境

③ 日本の問題は日本人じゃないと解決できない

④ ビザがない身で海外就職する現実的メリットがあんまりない

ということでした。

そんなことを言いながら、選考を受ける企業を選ぶときに、正直、変なプライドが邪魔をすることもありました。

日本の大学に行っていても行けたところなのでは?留学した意味はなんだったのか?開発学部からこの進路なのか?と、素直な気持ちが分からなくなったり、同級生や親・親戚の顔が浮かんでしまったりするわけです。

「国連で働けるようになる」という夢と希望を抱いてイギリスに来ましたが、現在は日本の企業を舞台に世界のために働けることに夢と希望と多少の不安を抱いて帰国します。

興味の対象が少し変わったとはいえ、軸はあまり変わっていません。

「どこ就職=どう」とかじゃなく、舞台がどこであろうと、自分の意思を持って自分のしたいことをしている人がかっこいいと思うし、自分もそうでありたいと思う。